504人の命を奪った能登半島地震から、元日の午後4時10分で1年になります。新春を祝う特別な日に、大切な人を奪われ、かけがえのない暮らしを傷つけられた能登。年末年始を迎える人々の姿や風景を詳報します。
■■■2025年1月1日の動き■■■
17:00
消防団員らが献杯
石川県輪島市門前町で1年前、倒壊した自宅の下敷きになって亡くなった市消防団門前分団員の稲垣寿(ひさし)さん(当時46)を思い、同僚ら約10人が町内の居酒屋で献杯をした。
稲垣さんは地震直後に母と祖母を外に避難させ、消防服のズボンをはいていた時に自宅が倒壊したとみられる。オレンジ色のベルトを握りしめていたという。
この日は、料理が並ぶ卓上の遺影の前に小さなおちょこ。「祭り好きの男だったよ」「誰にもやさしかったねえ」「あまり飲めないけど、世話焼きだった」と、思い出話に花を咲かせた。
16:10
黙禱中に激しい雨「まさに涙雨」
大規模な火災に見舞われた石川県輪島市の朝市通り周辺では、地震の発生時刻に合わせて輪島市朝市組合のメンバーら約30人が集まり、黙禱(もくとう)した。
地震前の輪島朝市は、午前7時ごろから正午ごろまで100前後の店が並び、観光客の人気も高かった。地震による火事で約5万平方メートルが焼失し、16人が犠牲になった。現在、朝市は市内外に出張する形で実施している。同組合の冨水(とみず)長毅組合長は「これまで90カ所で開いてきたが、一日も早くこの場所で再開できるように祈った」と話した。
黙禱の20分ほど前から激しい雨が降り始め、黙禱中も続いた。朝市でサツマイモなどを売っていた農業柿美幸さん(75)は「同級生の母が朝市周辺で亡くなった。まさに涙雨だ」と故人たちをしのんだ。
16:10
総持寺祖院でも黙禱
石川県輪島市門前町の総持寺祖院で、地震と豪雨の犠牲者の追悼法要が営まれた。山門に約300人が集まり、2023年の大みそか以来の鐘の音が響いた。地震の発生時刻には黙禱(もくとう)し、住民たちが焼香して手を合わせた。
境内は地震による建物の損壊がひどいため、参拝客を迎えることができず、除夜の鐘も新年の祈禱(きとう)もなし。「寺も町も被害を受けたが、一緒に復興に進むきっかけにしよう」と、商店主らでつくる総持寺通り協同組合と共催した。
16:10
発生時刻に合わせて黙禱
能登半島地震の発生時刻となる午後4時10分に合わせ、約400人ほどが集まった地震と豪雨の追悼式の会場では、犠牲者への黙禱(もくとう)が捧げられた。石破茂首相や岸田文雄前首相、馳浩石川県知事、被災市町の首長らが深々と一礼し、犠牲者を悼んだ。
16:05
遺族代表「地域の皆さんと共に歩んでいく」
石川県輪島市の日本航空学園能登空港キャンパス体育館で開かれた地震と豪雨の犠牲者追悼式で、遺族代表の小林由紀子さん(53)=同県穴水町=が言葉を述べた。
元日の地震で父の洋一さん(当時82)を失った。4年ほど前に父から衣料品店「バル・こばやし」を引き継ぎ、夫とともに切り盛りする中での出来事だった。
店は崩れ、実家も倒壊し、がれきに巻き込まれた父が命を落とした。小林さんは「悲しみ、絶望感に打ちひしがれました」という。そんななか、地域の人たちの温かい言葉が支えとなったという。「地域の皆さんと共に歩んでいく。それが亡くなった父への感謝であり、地域の皆さんへの恩返しであると考えています」
15:51
石破首相「世界一の防災大国にすべく力を尽くす」
地震と豪雨の犠牲者追悼式に、石破茂首相と岸田文雄前首相が来賓として出席した。
石破首相は「よりどころを失…
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