アプリ内購入とアプリ内広告による収益のバランスを取ることを選択するパブリッシャーが増えています。この変化がプレイヤーの体験とリテンションにどのような影響を与えるのかについて、私たちは観察を続けてきました。
なぜでしょうか。収益化モデルは単にゲームで収益を生み出すだけでは足りないと認識しているからです。また、現状のモデルにどのように広告を組み込むとプレイヤーは快適にゲームを楽しみ続けられるのかを、皆さまにも知っていただく必要があると考えています。
このような背景で、パブリッシャーとプレイヤー双方の視点で広告による収益化の影響を確認するため、いくつかの調査を委託しました。
まず、Meta Audience NetworkがApp Annieに委託した2020年3月のレポート「モバイルゲームにおける広告マネタイズのチャンス」では、広告プラットフォームSDKを実装したゲームについて、アプリダウンロード、月間アクティブユーザー、プレイヤーの支出、ユーザーセッション、アプリ内滞在時間などのパフォーマンス要素への影響を調査しました。
次に、2CVによるレポート「ゲーム内広告の広告収益型モデルがすべての人にメリットをもたらす理由」では、アプリ内広告によって体験にどのような影響があるかをプレイヤーに質問しました。
そして最後に、Facebook IQが委託した調査、「4大ゲームジャンル 最新レポート2020」では、Interpretが11か国で13,000人を超えるモバイルゲームプレイヤーを対象に、プレイヤーが見たいと考える広告の種類とジャンルを問わず効果のある収益化モデルについて理解を深めています。
アプリ内広告が短期的なゲーム体験にもたらす価値と長期的なリテンションにもたらす価値について、これまでに明らかになったことをご紹介します。
一部のパブリッシャーは、広告がアプリ内の滞在時間に悪影響を及ぼす可能性があると誤解しています。一方で、調査結果は次のことを示しています。
App Annieが取得したパブリッシャーのデータでは、広告SDK¹を実装した1か月後、3か月後の両方で、アプリ内の合計滞在時間は増加しました。
2CVが調査したプレイヤーは、モバイルゲームプレイヤーの半数以上(51%)が、ゲーム内で広告を見たことでプレイ時間が長くなっていると回答しました。これは、テスト対象となったすべてのマーケットに該当します²。新しいマーケットでは、プレイ時間の増加が特に目立っています。ベトナムのプレイヤー74%とブラジルのプレイヤー59%が、ゲーム内で広告を見た結果としてプレイ時間が長くなったと回答しています(2CV、2020年7月)。
RPGなどのIAPの比重が大きいパブリッシャーの一部は、IAAを組み込むことでIAPの収益に悪影響を及ぼし、プレイヤーの体験を損なうのではないかと懸念していました。ところが興味深いことに、それとは反対の証拠が見つかりました。
RPGのパブリッシャーパートナーの1社が、IAPのみで収益化しようと苦心していました。そこで動画リワードを実装したところ、プレイヤーの支出が増えたのです³。
Mechanist Games、パブリッシング担当ディレクター、Jinxi Yang氏
別のゲームパブリッシャーパートナーのGogii Gamesは、動画リワード広告へのプレイヤーの反応は、最大で最高にうれしい驚きだったと述べています。アプリ内の滞在時間が増加しただけでなく、Gogiiのカスタマーサービスには、もっと多くのゲームに動画リワードを追加してほしいというリクエストが寄せられました。プレイヤーは、ゲーム内通貨を獲得する機会が増えたことを喜んでいたのです。
「ジャンルと人気ゲーム調査」で質問したプレイヤーは、アプリ内購入に依存し過ぎているとRPGプレイヤーの離脱につながる可能性があると回答しています。韓国のRPGプレイヤーの3分の1以上と米国のRPGプレイヤーの5人に1人は、アプリ内購入を強く勧められたせいでRPGモバイルゲームのプレイをやめた経験があります⁵。
開発者の皆さまには、アプリ内広告とアプリ内購入を組み合わせてバランスを取った収益化戦略を実行することをおすすめします。RPGのプレイヤーもこれを受け入れており、日本の約90%のプレイヤーと米国の70%のプレイヤーは、アプリ内広告を見ることに問題はないと回答しています(Interpret、2019年11月)。
App Annieが取得したパブリッシャーのデータは、広告SDKの実装後もリテンションは変わらないことを示しています。また、広告による収益化を始めたゲームのダウンロード数や月間アクティブユーザー数は、ジャンルを問わず世界中で継続して増加しました(App Annie、2020年3月)。さらに、モバイルゲーム開発者の57%は、アプリ内広告によってゲーム体験を損なうことなくプレイヤーのリテンションを高めることができると考えています⁶。
2CVが調査したプレイヤーは、ゲーム内広告によってプレイ時間が増え、頻度も高まることで、結果として広告を目にすることが多くなると回答しています。実際にゲーム内広告によって、プレイヤーの47%はゲームをプレイする頻度が高くなり、51%は直接的にプレイ時間が長くなっています(2CV、2020年7月)。なぜでしょうか。
- 広告からリワードを得たから
- 広告によってゲームプレイの手がかりを得られたから
- 広告の内容を気に入ったから
- ゲームプレイの邪魔にならなかったから
モバイルゲームプレイヤーの総意は明らかです。つまり、ゲーム内広告が自分たちの好みに合うものを表示しているなら、プレイヤーはゲーム内広告に満足し、ゲームプレイの邪魔とは思わないということです(2020年7月、2CV)。
大きな成功を収めているパブリッシャーというものは、IAP、IAA、両者併用のハイブリッドモデルなのかを含め、ゲームをどのように収益化しているのでしょうか。データは以下のことを示しています。
App Annieが取得したパブリッシャーのデータは、広告プラットフォームSDKの実装が増加していることを示しています。2019年12月時点で、世界の人気ゲームの89%が何らかの広告プラットフォームSDKを組み込んでいました(App Annie、2020年3月)。
Walnut Researchが調査したパブリッシャー10社のうち約7社(69%)が、ハイブリッドの収益化が今や最も利用されている収益化モデルだとしています(Walnut Research、2019年4月)。
パブリッシャーパートナーのHabbyは、世界中でリリースし成功したゲーム『Archero』に広告を実装したところ、デイリーアクティブユーザーのうち60%が広告を見たと回答しています(App Annie、2020年3月)。
プレイヤーの反応はどうでしょうか。
2CVが調査したプレイヤーの大半(79%)は、広告サポートモデルのゲームに満足しています。注目すべきは、動画リワードは楽しまれているということです。多くのプレイヤーはこれを、非常に有益で、しかもゲームプレイを妨げることもほとんどないと考えています(2CV、2020年7月)。この満足感を作りだしているのは、広告サポートモデルがプレイヤーのゲームへの集中力を維持しているからです。ゲームへの継続的なエンゲージメントは、新たなコンテンツの発見につながります。
すでにお気づきかもしれませんが、成功するゲームを開発することと、成功するゲームビジネスを構築することは、全く別の課題なのです。こうしてパブリッシャーとプレイヤーの双方の視点で見てきたように、アプリ内広告を組み込むことで収益を最大化し、ゲーム体験を進化させることができます。
ゲームの収益化モデルにアプリ内広告を組み込んでいくことについて、パブリッシャーとプレイヤーに関するさらに有益なインサイトを用意しました。どうぞご覧ください。
App Annie「モバイルゲームにおける広告マネタイズのチャンス」でパートナーのレポートを開き、アプリ内広告に関するパブリッシャーのデータをご確認ください。Metaの委託による2CVのレポート「ゲーム内広告の広告収益型モデルがすべての人にメリットをもたらす理由」で、アプリ内広告がプレイヤーの体験に与える影響についての詳細をご確認いただけます。
¹ 出典: App Annie「モバイルゲームにおける広告マネタイズのチャンス」(Facebookの委託によるレポート、2020年3月。世界の人気ゲームアプリ1,000タイトルについて、iOSとGoogle Playにおける2019年1月1日~12月31日のデータの平均値を分析)
² 出典: 2CV「2020年モバイルゲーム広告レポート」(Facebook Audience Networkの委託によるレポート)。2020年3~5月に実施した英国、米国、ドイツ、フランス、トルコ、ブラジル、アルゼンチン、韓国、日本、ロシア、ベトナムにおける2017年以降のモバイルゲーム広告における変化と広告がプレイヤーに与える影響についての定量、定性調査、2020年7月。
³ 出典: Audience Network: Mechanist Games: Mechanist Games、アプリ内広告戦略を採用したところ、アプリ内購入が増加(2019年4~5月)。
⁴ 出典: Audience Network: Gogii Games: モバイルゲームのパブリッシャーGogii Games、Audience Networkの動画リワードで広告収入が倍増
⁵ Interpret「モバイルゲームジャンル調査」(Facebook IQの委託によるオンライン調査。オーストラリア、ブラジル、カナダ、ドイツ、フランス、インドネシア、インド、日本、韓国、英国、米国の18歳以上のモバイルゲームプレイヤー13,412人を対象に実施。2019年11~12月)
⁶ Walnut Unlimitedによるモバイルゲームの収益化に関する調査「アプリ内広告・アプリ内課金・ハイブリッド」(Facebookの委託により実施)、2019年4月
他の関連リソースについては、ゲームの収益力を強化をご覧ください
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